Shota Miyazaki MUSIC
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打楽器奏者(パーカッショニスト)に演奏の仕事を依頼するときのコツ

8/13/2020

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1.打楽器奏者のタイプを知る

世間には、様々な種類の打楽器奏者がいます。音楽のジャンル、シーン(場面)、楽器所有の有無、経験等を加味して適切な人に仕事を頼むのが大切です。

まず音楽のジャンルについて、クラシック、ロック・ポップ、ジャズ、ラテン、それぞれ別の能力が要求されるのは他の楽器と同様です。もちろん複数のジャンルができる人もいます。ただし打楽器奏者について特に留意して頂きたいのは、ジャンルによって必要となる楽器が大きく異なるということです。例えばドラムセットを使う仕事でも、ロックとジャズではほとんど別物のドラム、シンバルが好まれます。したがって依頼する奏者の所有する楽器が非常に重要になってきます。楽器の種類がわかるという方は、多くの(まともな)奏者がGear List(使用機材リスト)という形で自分の所有する楽器を提示する手段を持っていますので、ウェブサイトや問い合わせで調べましょう。(宣伝:僕のGear Listはこちら。)楽器の種類が特にわからない方は、経歴を見るか、直接相談しましょう。駆け出しの奏者は機材が揃っていない場合もありますが、複数の打楽器奏者がいる場合にはある程度機材力のある奏者が楽器のレンタルを行うという場合もあります。

次にシーン(場面)についてです。これは依頼のタイプとも言い換えられます。例えば小編成を組んで狭い会場でBGM的に演奏するのと、広い会場、厚い編成で音楽がメインの演奏をするのとでは、必要とされる能力も楽器も異なります。これに関しては経験値も大きく影響するので、依頼先の経歴やメディアを確認するとよいでしょう。

学歴、受賞歴で判断するのは例外が多いのであまり賢明とは言えません。クラシック畑の学校を出ているジャズマンもいますし、アンサンブルょゎょゎなソリストもいます。(ジャズのできないジャズ科も……)

エンドースメント(楽器メーカーなどの公式認定)のあるアーティストは多少信頼度が高いかもしれません。ただしこれには注意が必要です。好きなメーカーのエンドースは受けますが、あまり好きではない会社からのお誘いはお断りしている場合もあります。そのため、エンドースがなくても素晴らしいアーティストもたくさんいます。

2.打楽器奏者の価格を知る

打楽器奏者の報酬相場に関しては、世に出回る情報が少ないからか不安の声をよく聞きます。これは経験値や応用力、集客力に依って変わります。

やはり集客力は大きいファクターで、今でいうとSNSのフォロワー数なんかで露骨にわかります。知名度がありファン層がお金を落としやすいような場合には主催者側に入ってくるお金も大きくなるので、報酬額も高まりやすいという仕組みです。ライブ、コンサート系の仕事でよくみられるチケットバックや歩合といったものと、REC系の仕事でよく見られる〇万円という固定額のものの大分して2つ、報酬の設定方法がありますので、打楽器奏者側との交渉が必要です。「先生」や「マエストロ」と呼ばれる”お高い”人でも集客力がなかったりするので、特に初めて依頼するときは少し注意が必要です。

経験値、応用力も報酬額に関与してきます。こちらは集客力ほど劇的な影響がないので、比較的お得な奏者を見つけることもできるともいえます。多くの場面、ジャンルを経験し楽器を所有しているような奏者はその場の状況を見て演奏以外の能力を提供してくれる可能性があります。複数ジャンルの音楽を一現場で演奏したり、大編成向けの楽譜しかないときに作編曲の能力を活かして小編成に書き換えたり、複数楽器の演奏ができることから小音量が要求される場面でドラムセット以外の楽器を提案したり、ミュージカルの経験と機材を活かして複数のパートを一人でカバーしたり、英語を生かして海外ミュージシャンとの通訳をしたり、人脈を活かして他のメンバーを調達したり、即興演奏の能力を活かして”引き伸ばし”を行ったり、そういった演奏の”一つ外側”の仕事を同時に行うことのできる人材が多くいますのでぜひ探してみましょう。(宣伝:上記は私のよく頂く依頼例です。)

報酬額の設定方法については人によって大きく異なるのでまずは問い合わせて相談することをお勧めします。(宣伝:僕の価格表はこちら。)ちなみに報酬額を考えるとき、打楽器奏者側はこんなことを考慮していますのでご参考になれば幸いです。(ヒント:会場に楽器があると経費が安くなるので報酬額も少なくて済む。次の仕事の確約があるとちょっと安くしやすくなる。)

  1. 経費:楽器自体、ヘッドなどメンテナンスの必要なパーツ、楽器運送費、ローディー(楽器運搬、設置、雑用をするアシスタント)の報酬
  2. 拘束時間:移動時間、リハ、編曲等の前準備、本番
  3. イメージ:その仕事が世間に知られたとき、自分というブランドにとってどれほどプラスか、あるいはマイナスか、次の仕事へのつながり
  4. 前後の仕事との兼ね合い:移動、前準備の余裕
  5. 楽しそうかどうか:同じ人からもらった前の現場、”ヤバイ”共演者の有無

3.仕事を依頼する時に送るべき、知らせるべきもの

仕事がどれほどスムーズに進行するかは最終的な演奏のクオリティや次の現場の報酬額に間接的に影響してくるので、前準備の段階が当日より大切かもしれません。依頼の決定次第送られてくると嬉しいものは以下の通りです。

  1. 契約書・覚書:支払額、支払日程、中止の場合の処理、反社の諸々。
  2. 楽譜:リードシート、パート譜、スコアなど。楽譜と参考音源から必要な楽器を判断するのでとても重要です。クラシックをやる場合を除けばリードシートやピアノ譜が欲しいです。場面によって要求される音楽性が変わる、そもそも記譜はデタラメであてにならないことが多い、などの理由から叩くものが1音1音書かれていてもそれ通りにやる現場はほぼないです。クラシックをやる場面においては、とりあえず複数パート渡してみる、というのもありかもしれません。複数の楽器ができる奏者の多くはその音楽に重要なパートを判断してそれらをできる限り多く効率的にカバーしようとしていますので、打楽器系はティンパニ、鍵盤も含めすべて送ってみましょう。
  3. 参考音源(リファレンストラック):同じ曲でもアレンジが違うと曲の構成や持っていく楽器が変わるので先に知っておきたいです。
  4. 会場見取図:どのくらいのスペースを取れるのかによって楽器の種類や配置が変わってきます。
  5. PAの有無、ある場合はプランと連絡手段:マイクが立てられるのかどうかによって必要な楽器や演奏のスタイルが変わります。例えば、細かい話ではありますがタム直付けのクリップしか用意がないような場面ではウッドフープは避けています。また、ポップ、ロックの場面では特に電子楽器が要求される場面が非常に多い(私の場合99%)ので、PAさんと密接な連絡を取る必要があります。モニター環境も含め、双方向のやり取りが事前に判明していると気持ちがよいです。「奏者は演奏に集中するべきで、どんな奏者が来ても対応するのが音響屋の仕事」という一方通行無責任ピーポーもいますが、お互い気持ちよく、最大効率で最大限の結果を残せるよう努めるモラル感が私は好みです。

4.リハ、本番日に打楽器奏者が気にすること

リハや本番の日にも、仕事がスムーズにいくかどうかの鍵となる事項がいくつかあります。
  1. 入り時間、ハケ時間:「打楽器奏者は最初に来て最後に帰る」と言われるほど、セットアップに時間のかかる現場が多いのが打楽器奏者の特徴です。たくさんの大きくて重い部品を組み立てる必要があるためです。従って、入って10分後に音出し、終演から20分で完全撤収、などと言われると楽器によってはキビしい場面も多くあります。事前の相談が欠かせません。
  2. 駐車場、駅からの距離、搬入口、エレベーター広さ:上記と同様の理由です。
  3. 衣装、メイク:これは他の楽器と同様ですが、黒服を持っていない奏者、タキシードを持っていない奏者などもいますので事前に相談しましょう。また、映像で抜かれる、ライトが強い、など、メイクの必要があるような現場ではそれも知らせておくとよいでしょう。特に男性ではどこまでできるか人によって大きく異なります。(宣伝?:私は髭剃ってファンデーションぺちぺちして、コンシーラーちょんちょんが限界です。)
  4. 会場備品:特に駆け出しの奏者に関して会場の楽器や譜面台などを使う場合が多いと思いますが、この時は写真や具体的な楽器名を知らせると奏者は何を準備すべきかわかり、助かります。ある程度の経験のある奏者であれば機材全持ち込みということも多いので、その場合は特に心配ありません。

5.最後に

今回このような文章を書いたのには、紹介や集客力、学歴のみが判断材料になり、明らかなミスマッチの仕事を頼んで/頼まれて失敗したという方が多い、前述の判断材料が重視された結果若手に回せる仕事が少なくなる現在の構造、(自他含め)打楽器奏者ならではの事情が多く依頼者と演奏者のミスコミュニケーションがしばしば発生している、という背景があります。これらの問題は金銭的なことを含むビジネス的トピックを軽視、and/or忌避する業界の傾向が一因になっているので、今回の記事がこの状況を改善させられれば幸いです。(宣伝:お仕事のご依頼待ってます。)
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