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ドラムは自宅で練習できないという通説は本当か

5/3/2021

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ドラム講師をしていると「ドラムは自宅で練習できない」という説について意見を求められることが多いのでここに私の考えを書きます。

1.そもそも「ドラムは自宅で練習できない」と言われる原因は何か

一般的に、ドラムセットは大音量で、かつ大型なため運ぶことがが困難な楽器です。これが大きな原因として考えられます。

小型で移送が容易であればボーカルやサックスのようにカラオケボックス等で練習することができますが、これはできません。

また、ドラムセットの演奏は(一部のスタイルを除いてほとんどが)大きな音量での演奏を求められます。これは日本の住宅事情と相性が合いません。

2.練習に別の楽器を用いて問題を解決できるか

練習に用いる楽器には様々なオプションがあります。
  • 生の楽器:私自身プロの演奏家としてドラムセットの演奏が可能な物件を探すこともありますが、これは都内にも数十件あるかないかというレベルです。
  • 電子ドラム:残念ながらこれもかなりの音量・振動が出てしまい、防音物件でもない限り現実的ではありません。
  • 練習パッドとキックペダル:私の生徒さんを含めほとんどの方はパッドのみ、あるいはパッドとキックペダルで練習されています。集合住宅の1階や一軒家であれば、キックペダルの振動も問題にならないことが多いようです。

では、練習パッドとキックペダルのみで練習できるのか、考えていきましょう。

3.ドラムは練習パッドでもかなり練習できると考える理由

練習とは何かを考えてみると、練習パッド、あるいは楽器なしであってもかなり練習できるということがわかります。

視点A.練習のプロセス
  • 練習の第一歩は「何をしたいのかを理解すること」、つまり「脳の練習」です。例えば叩こうとしているフレーズが想像できない、歌えない場合は、たとえ動かす筋肉があったとしても叩けません。そのため、まずは目標とするフレーズを理解し、鮮明にイメージできるようにならなければなりません。
  • 次のプロセスは頭の中に描いた音楽を現実にする「スティックを思い通りに振ること」、つまり「筋肉の練習」です。やはり細かいフレーズを叩くためには効率の良いストロークが大事になりますし、キックの音量を確保するのにもコツがいります。
  • そして最後のプロセスが「どこが間違っているのかを分析して理解すること」、つまり「復習」です。自分の思う自分が叩いている音や叩き方は、実際に出ている音や動きとズレはないか、それを確認します。この頭、あるいは筋肉に生じたズレを理解して修正することこそが練習の本質と言えるでしょう。

このプロセスは書道に例えるとわかりやすいかと思います。
  • 今からどんな字を書こうか、止め、払いなどを含め半紙の上に文字と筆の動きを鮮明にイメージできなければ、きれいな字は書けません。行き当たりばったりに筆を走らせてもあまり意味がありません。(脳の練習)
  • 続いて筆を想像通りに動かす器用さを身につけねばなりません。例え半紙の裏に置いたお手本を写したとしても、筆のコントロールができないとうまく書けません。(筋肉の練習)
  • そして書き終わった文字を見て、それを評価しなければなりません。何枚、何千枚と書いても、反省・改善のプロセスを得ない場合はちっとも上達しません。また、書いている様子を見た先生が、姿勢や筆の運び旗について助言をくれるでしょう。これらによって脳と筋肉の両方が改善されていくのです。(復習)

視点B.練習に用いる感覚
  • 聴覚:自分の出している音を分析したり、メトロノームやバッキングとの関係を分析したりします。
  • 視覚:ストロークや姿勢を分析して、うまくいかない原因を探ったり効率のよいドラミングを目指したりします。
  • 触覚:打感と言って、スティックやビーターがドラムヘッドに当たった時の感覚をもとにタイミングを分析します。

脳の練習、復習はは自宅でも、楽器を用いずにできることがわかります。また、筋肉の練習も、ドラムセット依存の感覚を用いるものでなければ練習パッドで練習できます。

(〇=練習パッドや楽器なしでも練習可、×=生ドラムなし練習不可)

- 脳の練習 筋肉の練習 復習
聴覚 〇 タイミングは〇、音色や音量は× 〇
視覚 〇 スネアやタムのストローク中の手足とスティックの動きは〇、シンバル類はや楽器間の移動は× 〇
触覚 〇 スネアのリバウンドは〇、シンバルやタムなどのリバウンド感は× 〇
4.練習パッド、あるいは楽器なしで自宅で練習する方法

練習パッド、あるいは楽器をまったく用いない具体的な練習方法として、以下のようなものがあります。
  • (脳の練習)そもそも叩きたいリズムや音色を理解し、イメージできているのかどうか確認してみましょう。
    • 楽譜に起こす練習。
    • 遅いテンポでSubdivisionを含めカウントしながら歌う練習。
    • テンポ通りにリズムを歌う練習。
    • 他のパートとの絡み合いを理解しながら歌う練習。
    • 目の前にドラムセットがあることを想像して、叩く相手が(タムや別のシンバルに)移るときに先に目線を移動する練習。
    • 音色や音量のバランスを想像して歌ってみる練習。
    • お手本の音や映像をゆっくりじっくり観察する練習。
    • 歌っている間に筋肉が緊張する瞬間がないかを確認する練習。
  • (筋肉の練習)
    • 練習パッド、または練習パッドとキックペダルを用いてリズムを叩く練習。
    • タップとアクセントを右手左手で分けて同時に叩く練習。
    • 手足のタイミングをそろえる練習。
    • パッドの位置を動かしても思ったタイミングで叩けるようにする練習。
    • リラックスした効率の良いストロークを手足ともにできるようにする練習。
  • (復習)
    • 自分の演奏を録音、録画し、それを見返したり、聞き返したりして分析する練習。
    • 自分の演奏とお手本とを比較する練習。

実際に私も上のような練習を行ってきました。プロになった今でこそ生の楽器を叩いて練習できる環境にありますが、大学で音楽科を選ぶまではパッドとスティックの練習がほとんどでした。

特にパッドとスティックすら使わない方法は、追加の利点として場所を選ばないことがあります。散歩中にメトロノームを聴いて歌うことも、通勤・通学中の電車内でお手本と自分の演奏を比較して分析することもできます。僕は大学時代、学食の洗い場でバイトをしていた時も頭の中で練習を続けていました。戻ってきた2枚の皿を完全に同じタイミングで食洗器に突っ込むことで両手で同時にストロークする触覚の練習もできました。

5.楽器がないと練習できない(=自宅では練習できない)内容は何か

逆に、ドラムセットがないと練習できないことがあるのも事実です。これを理解することで、スタジオに入った時などの短い練習時間に効率的な練習ができます。

  • 毎回同じセッティングができるようにする練習。
  • 想像した通りの音色や音量のバランスを出す練習。
  • シンバルの各種ストローク、スネアのリムショット各種などを安定して出す練習。
  • キックの音量を安定して出す練習。
  • リズムを乱さずに楽器間を移動する練習。
  • (自前の楽器を使える場合)チューニングやハードウェアのセッティングの練習。

6.おわりに

今回の記事が、ドラムセットを学ぶ皆さんの参考になれば幸いです。ドラムセットの学習をより多くの場所でより多くの時間に、効率的に学ぶことが大切です。目的を明らかにすることで無駄な練習の削減にも繋がりますので、もっと速いペースで上達できるでしょう。

僕は個人レッスンもやっていて、受講者の皆さんにはそれぞれの目標や得手不得手、所持楽器の有無、学習ペースなどに合わせて練習方法を提案しています。どこから始めたらいいのかわからない初心者の方、体系的に学びなおしたい方、さらに上達ペースを早めたい方、ぜひご連絡・ご予約下さい。
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