Shota Miyazaki MUSIC
  • Home
  • About
  • Media
  • Works
  • MS Music Office
  • Lesson
    • Lesson Appointment
  • Blog
  • Contact

"意味わからなさ"の演出について

3/7/2018

0 コメント

 
Amazon
今回は僕の大好きなドラマーBenny Grebの凄さの示すあるフィルを紹介したいと思います。

そのフィルは02:17で起こります。ここだけ聴くと、ただよく間の取られたフィルに思えますが、その前、01:52辺りから聴いていただくとその気持ちよさがわかると思います。

02:05から四つ打ちも始まり、重ねシンバルの心地よい十六分が八分の裏拍で鳴らされ、ノるべきリズムが提示されています。ところが02:15、9小節目の時点でキックが抜け、ある意味聴いているものに対し自らの力で拍を取ることを強要します。

その2秒後、セクションの10小節目に訪れるのがこのフィル。
Picture
そう、リズムがよくわからないのです。僕も打楽器奏者を10年以上やっていますから、ほとんどのリズムは一回聴けば楽譜に起こせます。しかしこのリズムには本当に意表を突かれました。いざ楽譜に起こしてみると、下のようになります。
Picture
このフィルの凄いのは分割(subdivision)のヒントを一切与えず複数の分割様式を取り入れることで聴いている人にミスリードを起こしつつも曲の流れを壊さないところだと僕は思います。

まず一拍目の頭が休拍です。これによって聴いている人は少し不安になります。抜けた頭の音と次に来る音の時間的位置によって分割が決まってくるからです。分割単位を判断するには最低に音が必要です。そしてそれはたいていの場合表(または裏)と次の音です。一拍目でこれをまず揺らしてきます。

二拍目では、一拍目よりも細かい単位である十六分の分割が出てきます。これも頭が抜けています。しかもこれは二拍目。いわゆるポップミュージックでは必ずと言っていいほどスネアが予想される場所です。この時点でほとんどの人は拍から振るい落とされると思います。もしここの頭にスネアが入っていたら簡単に拍が取れます。

三拍目では、さらに別の分割である三連符を入れてきます。たとえここまで十六分が取れていたとしても、これはさすがに混乱させられます。しかもスネア→キック→スネアと等間隔で来ているのでそのまま付点八分音符で何か来るのではないかと人間の脳は予想してしまうのです。僕はこの拍で置いて行かれました。

四拍目では、三拍目と同じことを繰り返します。次の小節からまたイーブンな分割(十六分)に戻るので、普通のドラマーであれば三連符の分割はリスキーと考えます。表だけ叩いて止めて四分を提示する、もしくはBenny Grebのパターンに八分の裏も加えたパターンで八分音符を提示するというのが定石でしょう。もし僕がこのフィルをミュージカルの現場で演奏したら舞台上で踊っている役者の皆さんから終演後に肩パンチされると思います。「踊れねえわ!」

そして何事もなかったように十六分の元のリズムに戻っていきます。クラッシュシンバルさえ入れません。このスパイシーなフィルをBenny Grebでは珍しくかなり平和で可愛らしい曲調の中で入れておいて澄まし顔です。この曲はこのフィルのためだけに書かれたんじゃないかと思うくらい尖ったフィルです。音数が圧倒的に少ないので曲のローエネルギー、低速ギアな雰囲気も壊していません。

消しゴムで絵を描くようなこのフィル。数学的でクリーンなフィルを多用するBenny Grebがその計算能力を見せつけてきた瞬間ともいえると思えます。
0 コメント

あなたのコメントは承認後に投稿されます。


返信を残す

    Archives

    5月 2021
    8月 2020
    10月 2019
    5月 2019
    4月 2019
    6月 2018
    3月 2018

    Categories

    すべて
    仕事について
    共感覚について
    練習について
    音楽について

  • Home
  • About
  • Media
  • Works
  • MS Music Office
  • Lesson
    • Lesson Appointment
  • Blog
  • Contact