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歩ける変拍子と伏線の時間を空けた回収について

3/6/2018

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変拍子というとやはりある種”無理のある"曲が多いように思いますが、この曲は変拍子が変拍子であることに意味がちゃんと備わっていてとても心地が良いです。

(00:00-00:17) 12/8+10/8は、3+3+3+3, 3+3+2+2の繰り返し、最後2拍が短くなっているという捉え方がなされています。この曲に合わせて歩いてみるとわかるのですが、短くされた2拍で上手く歩くにはその前、遅くとも2拍目あたりから前進するエネルギーを強める必要があります。

イントロのピアノで導入されるパターンがその役割を果たしています。例えば2拍目をただの四分音符にして歌ってみるとうまく時が流れません。「たーたーたー」ではなく「たーらったたー」であるからこその自然さですね。

(00:17-00:48) 最初ボーカルが入ってきたVerseで偶数拍目が省略されて大きな拍の取り方になりますが後ろ2拍がぐっと押し込まれて演奏されているのはその"無理やり"進んでいることの現れに思われます。

(00:48-01:04) Chorusに入るとイントロのパターンです。音景の変化がこのパターンに注意をひいています。今まで中央でたっぷりリバーブをかけられていたボーカルが両サイドにパンを振られます。リバーブが一気に減り、おそらくマイクの位置も下げたことにより彼女の声のハスキーさが伝わるほど近くに感じます。パッドなのかと思うくらいのリバーブを敢えて"引く"ことによってパターンを際立たせるという選択は学ぶ部分があります。ボーカルの息継ぎの音が休拍に音楽的意図を加えているのもいいですね。

(01:04-01:36) 2度目のVerseでは中央のボーカルが戻ってきます。いろんな楽器が入ってくる感じがとってもSnarky Puppy。左から聞こえてくるアコースティックギターのいわゆる"2拍3連の裏"、これが後で効いてきます。

(01:36-01:52) このChorusは最初聴いたときもの足りない感じがしました。この"物足りなさ"はエネルギーが蓄積されているのに発散されていない状態から来ていると思います。この静かな緊張状態が一気に発散されるのが最後の小節です。今までのOstinato的パターンを繰り返すのであれば10/8のはずのこの小節。しかし後ろの2拍が短くなっていては溜まっているエネルギーを発散するのに十分な踏切りが得られません。これも歩きながら歌ってみたのですが10/8のままだと間違いなく転びます。

(01:52-02:01) 最初の発散は80%程にとどめられます。01:52の時点でドラムの入りを予想したのは僕だけではないと思います。ここでまだ焦らしてくるChantae CannとSnarky Puppyはあざといです。そして前回と同じように12/8で気持ちよく次のセクションへ。

(02:01-02:50) 大きく拍を跨いで伸びるバックのコーラスが開放感バツグンです。02:26からの同パートの2拍ずつの取り方も伏線です。後から出てきます。


(02:50-03:05) ここからは打って変わって12/8+9/8、8拍子ではなく7拍子になります。キックによって提示される4分音符にコンガ・カウベルの裏拍とブラスセクションのシンコペーションがうまく絡んできます。曲の構成を考えたときこのセクションは前後半のつなぎなのですが、前に登場したメロディを使いつつ次に現れる拍子を導入することで前に所属するとも後ろに所属するとも言い難いなんとも絶妙な位置を取っています。ここのベルパターンが12/8のよくあるリズムを加工したもの。最初聴いたときはこれが次に導入されるostinatoだと思っていました。

(03:05-03:35) ここで最初の伏線回収が行われます。2度目のVerseで現れたギターのパターンが今回はピアノで演奏されます。ここで単純な7/4にしないところが彼ら。キック、メロディが四分音符を、ピアノが2拍3連の裏を、ベルが四分の裏を織りなす中、べースがメロディックに絡んでいきます。

(03:35-04:06) ここではChorusの途中で現れた2拍ずつの取り方が再現されます。途中メインメロディによってその存在を明らかにされたところからは特にオールスター感謝祭状態です。

(04:06-04:21) 複数の層によって作られたこの混沌とした興奮がひとつにまとまっていくのがこのセクションです。ボーカルが全員メインのメロディに乗っていきます。

(04:21-04:36) ドラム抜きでもとの構造に戻りここで収束するのかと思いきや、メインボーカルによってもう一度エネルギーが引き戻されます。ドラムが抜けてさらにピアノが2拍3連の表に返った時点でエネルギー量が一気に減るのにこっから引き戻していくChantae Cannっょぃです。

(04:36-04:51) 最後のひと踏ん張りです。スネアが忙しい。明らかに拍の取り方が細かくなり、スネアの効果で押し出された三連符がストロボのようにチカチカします。しっかり後ろでラトルが鳴ることで空間的前後の深みも失われていません。

(04:51-) 絶頂を迎え、果てていきます。どこからともなく出てきたflangeの聴いたギターが右の方でいい色を付けています。

曲の展開を考えたとき、前半の変拍子だけだと割とすぐに"飽き"が来そうなものです。これを後半の7/4でしっかり楽しませていくのが素晴らしいですね。2小節のくくりでいえば前半が22/8で後半が21/8。一拍数を減らしてるんだけど一拍長さが伸びているという絶妙なバランス感。前半と後半が別物にならぬよう工夫がなされています。

2016年11月にSnarky PuppyのドラマーであるLarnell Lewisに指導を頂く機会があったのですが、バンドとして各層がうまく働いたときに"自然さ"と"次に移る理由付け(エネルギー)"が同時に出てくるという話をされました。この曲を聴いていると、その教訓が思い出されます。
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(追記) このときLarnellが持ってきたシンバルが当時まだプロトタイプだったZildjan K Super Dryだったのですが、思えばこの頃から始まったドライでワシャワシャなサウンドのブームはまだまだ続いていますね。Meinl Byzance Extra DryやBenny Grebの重ねシンバル祭りなどでシンバル産業は潤ったのでしょうか。僕のエンドースしているシンバル会社TRX CymbalでいうとCLS(クラシック)シリーズが流行りの音の感じです。ワシャワシャ感。もしよければ一度聞きに来てください。時々仕事で使っています。
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