Shota Miyazaki MUSIC
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石炭を入れ続ければ汽車は止まらない

3/23/2018

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多くの友人から「なんだかよくわからん。みんなの聴きなれた曲でもっとわかりやすい解説をしなさい。」とご指摘を頂きました。今回易しめの記事を書いたつもりです。またご感想・ご意見よろしくお願いします。

まず最初はTubular Bellとホルンで幕を開けます。ここでのポイントは、それぞれのテンポが同期していないということです。日常生活で聞こえてくる大半の音は“設計されていな音”であり、結果としてそれぞれが同期されていません、このパートは、それを再現することで”予想していた音楽”とは違う異質なものとなり目立ちます。素晴らしい設計ですね。

この技法はどのジャンルでもよく見られますが、クラシックの世界では今回のようにTubular Bellを使うケースが鉄板です。教会の鐘々が街に響く様子が想像されますね。

”音楽として聴くことに慣れた音”がここで意表を突いて入ってきます。ゆっくりのびのびと演奏されたホルン。この最後の部分が打ち切られるようなタイミングです。この“驚き”がAEDあるいは車のジャンプスタートのように働きます。元気の良い曲を急に始めるためのエネルギーを与えます。これがホルンの間をしっかり取ったタイミングで始まった場合を想像をすると、エネルギーの流れが不自然になりますね。

これが意外なタイミングとして演出されていることは、イントロのティンパニをよく聞くことでもわかります。このクレッシェンドが音量を上げきったならば、溜まったエネルギーを解放する音を次の一拍目に打ち鳴らすはずです。これがないということは、一拍目がクレッシェンドの途中で来てしまっているということです。

さて、いよいよメインとなる部分です。この曲で考察して欲しいのは、どのようにしてこの曲がハイエナジーな状態を保っているのかということです。

音はエネルギーに他なりませんから、音は音楽の燃料といえるでしょう。つまり”音の数”の多い曲では曲全体のエネルギーが多くなります。汽車に石炭を入れるイメージをしていただくとわかりやすいと思います。走り出すのは石炭を入れるから。力強く走るのは石炭をたくさん入れるから。徐々に止まるのは石炭が燃え尽きていくから。そういった具合です。

音の数を稼ぐ方法には大きく分けて以下の3つがあります。1、テンポを早くする。2、音を細かくする。3、層を厚くする。この曲ではそれら全ての手段を使って燃料を補給しています。

1、この曲のテンポはBPM170、結構速いです。速い曲の方が一般的にハイエナジーなのはこのためです。
2、この曲では、ボーカルが八分音符・四分音符ベースなのに対して他のパートが十六分音符になっています。
3、同時に多くの音を発するイメージです。この曲では、多くの声、ギターが役を買っています。多層構造にすることで音の数を稼いでいますね。テンポの遅い曲でも、音をいくつも重ねて厚みを出すことで力強さを出している場合がありますね。

燃料補給が”絶え間なく”行われているのも1つの特徴です。メロディが止む度、ドラムが大きく細かいフィルインを入れています。忙しい忙しい。ドラマーとしてはコスパ(報酬/打数)の悪い仕事ですね。

この曲ではエネルギーの上下ではなく”汽車の速度”で展開を作っていますね。例えば冒頭の「たからかに」の部分などは全体が音の数を急に減らすことでそれまでのエネルギーがぐっと抑えられます。急ブレーキをかけた時に前のめりになるイメージですね。

読者の皆様の中には、音の設計・音の数という2つの概念に馴染みのない方も多いと思います。今後音を聞かれる際それらの新しい視点を導入していただくと、新たな世界が見えると思います。

本当はTubular Bellの距離感、シンコペーションによる跳躍感など書きたいことがまだまだあるのですが、明らかに容量オーバーなのでここでやめておきます。ご意見・ご感想お待ちしております。


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